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たまにはいつもと違う道を

毎日、毎日t、たいていは同じ道を通りますよね。 仕事に行くにも、まずは家を出て、右に曲がってまっすぐ歩いて、左に曲がるとバスの停留所があって、バスに乗って、バスを降りて駅に向かって・・・。 毎日同じ道を通っていると、何も考えなくても、そこに行き着くことができます。 以前、引っ越したばかりのころ、なにも考えずに職場から帰ったら、気付いたら古い家の前まで来ていました。 人の脳は、道や景色をすぐに覚え、意識しなくてもそこへ行けるように設定されています。まるでナビシステムですね。 でも、毎日の習慣が、「ボケ」の第一歩になってしまう可能性もあるのです。...

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夜がふけていきました。

夜がふけていきました。それでも、人魚のひいさまは、船からも、そこのうつくしい王子からも、目をはなそうとはしませんでした。色ランプは、とうに消され、花火ももう上がらなくなりました。祝砲もとどろかなくなりました。ただ、海の底で、ぶつぶつごそごそ、ささやくような音がしていました。ひいさまは、やはり水の上にのっかって、上に下にゆられながら、船室のなかをのぞこうとしていました。でも、船はだんだんはやくなり、帆は一枚一枚はられました。するうち、波が高くなって来て、大きな黒雲がわきだしました。遠くでいなづまが、光りはじめました。やれやれ、おそろしいあらしになりそうです。それで水夫たちはおどろいて、帆をまき上げました。大きな船は、荒れる海の上をゆられゆられ、とぶように走りました。うしおが大きな黒山のようにたかくなって、マストの上にのしかかろうとしました。けれど、船は高い波と波のあいだを、はくちょう[#「はくちょう」は底本では「はくちょう」]のようにふかくくぐるかとおもうと、またもりあがる高潮の上につき上げられてでて来ました。スルガVISAデビットカードと楽天銀行デビットカードの比較?...

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こんな風な事をもう少ししゃべった

こんな風な事をもう少ししゃべった。そして物を言うと、胸が軽くなるように感じた。 「実に己は義務を果すのだ」と腹の内で思った。始てそこに気が附いたというような心持で。 そしてまた自分が英雄だ、自己の利害を顧みずに義務を果す英雄だと思った。 奥さんは夫と目を見合せて同意を表するように頷いた。しかしそれは何と返事をして好いか分からないからであった。 「本当に嫌でも果さなくてはならない義務なのだろう。」奥さんもこんな風に自ら慰めて見て、深い溜息を衝いた。 夫を門の戸まで送り出すとき、奥さんはやっと大オペラ座の切符を貰っていた事を思い出して臆病げにこう云った。...

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然し私はこういうことを申し出して見たい

然し私はこういうことを申し出して見たい。ケーベル博士がそのカント論に於て「生物学に於て取り扱われる動物本能は、畢竟人間にある本能の投影に過ぎない。認識作用が事物に遵合するのではなく、却って事物(現象としての)が認識作用に遵合するのである」といった言葉は、単に唯心論者の常套語とばかりはいい退けてしまうことが出来ない。そこには動かすことの出来ない実際的睿智が動いているのを私は感ずることが出来る。惟うに動物には、ダーウィンが発見した以外に幾多の本能が潜んでいるに相違ない。そしてそれがより以上の本能の力によって統合されているに相違ない。然しながら十九世紀の生物学者は、眼覚めかけて来た個性の要求(それは十八世紀の仏国の哲学者等に負うところが多いだろう)と社会の要求との間に或る広い距離を感じたのではなかったろうか。...

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ましてや彼らがこの目ざましいけなげな生活を

ましてや彼らがこの目ざましいけなげな生活を、やむを得ぬ、苦しい、しかし当然な正しい生活として、誇りもなく、矯飾もなく、不平もなく、素直に受け取り、軛にかかった輓牛のような柔順な忍耐と覚悟とをもって、勇ましく迎え入れている、その姿を見ると、君は人間の運命のはかなさと美しさとに同時に胸をしめ上げられる。 こんな事を思うにつけて、君の心の目にはまざまざと難破船の痛ましい光景が浮かび出る。君はやはり舵座にすわって他の漁夫と同様に握り飯を食ってはいるが、いつのまにか人々の会話からは遠のいて、物思わしげに黙りこくってしまう。そして果てしもなく回想の迷路をたどって歩く。...

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葉子が米国に出発する九月二十五日は

葉子が米国に出発する九月二十五日はあすに迫った。二百二十日の荒れそこねたその年の天気は、いつまでたっても定まらないで、気違い日和ともいうべき照り降りの乱雑な空あいが続き通していた。 葉子はその朝暗いうちに床を離れて、蔵の陰になつた自分の小部屋にはいって、前々から片づけかけていた衣類の始末をし始めた。模様や縞の派手なのは片端からほどいて丸めて、次の妹の愛子にやるようにと片すみに重ねたが、その中には十三になる末の妹の貞世に着せても似合わしそうな大柄なものもあった。葉子は手早くそれをえり分けて見た。そして今度は船に持ち込む四季の晴れ着を、床の間の前にあるまっ黒に古ぼけたトランクの所まで持って行って、ふたをあけようとしたが、ふとそのふたのまん中に書いてあるY・Kという白文字を見て忙しく手を控えた。...

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曾て私は内省の過敏によつて苦しめられた

曾て私は内省の過敏によつて苦しめられた。さうして殆んど内省の拘束なしに行きたい處に行き、したいことをなし得る人を羨んだ。併し私は今抑へる力の如何に眞正の生活に必要であるかを悟つた。膨れ上る力を抑へて、内に内にと沈潛して行くことによつて、私達は始めていのちの道に深入することが出來る。弱い者の人生に入る第一歩は自分を弱いと覺悟することの外にあり得ない。強い者に必要な謙遜は自分の強さを過信しないことである。鋭敏なる内省は如何なる意味に於いてもよいことである。私の罪は唯内省の過敏に釣合ふ程の旺盛な發動力を持つてゐないことであつた。此點に於いて私は本當に謙遜な心を以つて周圍の友人から學ばなければならない。併し私の内省は如何なる場合に於いても私の強みに違ひない。私は眞正の内省から出發しない思想の人間的眞實を信ずることが出來ない。クレジットカードの年会費...

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成程な、死人の髪の毛を抜くと云う事は

「成程な、死人の髪の毛を抜くと云う事は、何ぼう悪い事かも知れぬ。じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくらいな事を、されてもいい人間ばかりだぞよ。現在、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四寸ばかりずつに切って干したのを、干魚だと云うて、太刀帯の陣へ売りに往んだわ。疫病にかかって死ななんだら、今でも売りに往んでいた事であろ。それもよ、この女の売る干魚は、味がよいと云うて、太刀帯どもが、欠かさず菜料に買っていたそうな。わしは、この女のした事が悪いとは思うていぬ。せねば、饑死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。されば、今また、わしのしていた事も悪い事とは思わぬぞよ。これとてもやはりせねば、饑死をするじゃて、仕方がなくする事じゃわいの。じゃて、その仕方がない事を、よく知っていたこの女は、大方わしのする事も大目に見てくれるであろ。」アメックス@...

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この学校へは西洋人が二人、会話や英作文を教えに来ていた

この学校へは西洋人が二人、会話や英作文を教えに来ていた。一人はタウンゼンドと云う英吉利人、もう一人はスタアレットと云う亜米利加人だった。 タウンゼンド氏は頭の禿げた、日本語の旨い好々爺だった。由来西洋人の教師と云うものはいかなる俗物にも関らずシェクスピイアとかゲエテとかを喋々してやまないものである。しかし幸いにタウンゼンド氏は文芸の文の字もわかったとは云わない。いつかウワアズワアスの話が出たら、「詩と云うものは全然わからぬ。ウワアズワアスなどもどこが好いのだろう」と云った。 保吉はこのタウンゼンド氏と同じ避暑地に住んでいたから、学校の往復にも同じ汽車に乗った。...

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三人の者が大喧嘩になる

三人の者が大喧嘩になる。そこへ馬に跨った王子が一人、森の中の路を通りかかる。 王子 おいおい、お前たちは何をしているのだ? (馬から下りる) 第一の盗人 何、こいつが悪いのです。わたしの剣を盗んだ上、マントルさえよこせと云うものですから、―― 第三の盗人 いえ、そいつが悪いのです。マントルはわたしのを盗んだのです。 第二の盗人 いえ、こいつ等は二人とも大泥坊です。これは皆わたしのものなのですから、―― 第一の盗人 嘘をつけ! 第二の盗人 この大法螺吹きめ! 三人また喧嘩をしようとする。 王子 待て待て。たかが古いマントルや、穴のあいた長靴ぐらい、誰がとっても好いじゃないか?...

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