福田豊四郎

Publié le par rikairyoku

△福田豊四郎――『樹氷』は線の躍動味がねらひである、鹿の立体を筆触の重ねでこれほど出すといふことは非凡である、難を云へば月の位置が不確定なことゝ、鹿の尻に加へた色が平俗的である、月明りと雪明りとの交錯が美しい。 △吉岡堅二――作者の切迫感をかんじさせる『馬』は、単純化をねらつてゐる、線の錯雑な味が有機化してゐない恨みがあるが、色彩の調和は良かつた。 △久連石雨董――『仔馬』デッサンの不確かな割に、画面をよく生かしてゐる、殊に馬の鼻ヅラの鈍角な線は、よく仔馬を語つてゐる色彩も良い意味の甘さが流れてゐる。 △小川翠村――『追はるゝ山鹿』鹿の形態をよく観察してゐる態度がみえ、三匹の鹿の形の交叉のうまさ、皮膚の実感性、など日本画の質感の出し方として上々である、但し追ふ犬が拙い。 △野口謙次郎――『焼岳』山はよし、たゞ樹の形が殆んど同じ、その類型的なのはよくない。全体的雰囲気に救ひを求めすぎた感あり。 △和高節二――黒の色彩に新味あり、牛の下部へ鶏を配置したのは成功、平和と素朴とが洗練された形式でにじみ出てゐた、女の冠り物と顔の色が少し強すぎて調和を破つてゐる。 △岡田昇――『凪』漁師の母子の生活が良く出てゐた、ただ画面が汚ない感がした、生活的な庶民性を描くこと賛成であるが、画面はあくまで美しく処理することである、海のやゝカサ/\とした潮気を含んだ画面の効果はよく出てゐた。 調布 歯科 辺りに人なきが如し

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