怪塔王の死をつきとめる
帆村探偵は、あくまで怪塔王の死をつきとめる決心でありました。いま大利根博士の語ったところによると、怪塔王は岩の上に落ちて体をひどくうち、それからまっくろな海水が渦をまいている淵へおちたといいますが、帆村は、一応どうしても自分でしらべる気です。 「大利根博士、では、案内してくださいませんか」 「そうだね、わしはひどくつかれているのだが――」 と博士は口ごもりましたが、やがて思いなおしたように、 「うん、よろしい。外ならぬ遠来の珍客のことだから、案内してあげよう。こっちへ来なさい。ここから下りるのだ」...