それはそうだ
「それはそうだ。月の上へ降りれば、もっとらくになるよ」 艇長は、三郎の宇宙服を念入りにしらべてくれた。締め金具の一つがゆるんでいたのを見つけて、艇長はしっかりと締めてくれた。 「艇長。上陸地点の計算が出来ました」 航空士が、図板をもって、艇長のところへやってきた。そしていつもの調子で、顔を艇長のそばへ近づけたものだから、航空士の兜と艇長の兜とが、ごつんと衝突した。 「ああ、どうも失礼を……」 「気をつけないといかんねえ」 と、艇長は、やさしくたしなめて、航空士の手から図板をとりあげた。 「なるほど。すると『笑いの海』へ着陸すればいいんだな。ここへ着陸すると、六日と十二時間は昼がつづくんだな」...