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  • ランニングダイエット2

    05 février 2012

    どのくらいのランニングで、ダイエット効果を期待できるのでしょう。 マクロビオティック 家庭 脂肪を燃焼させることが、体重を減らしたい時の基本的な考え方となります。 レーシック 効果 脂肪を燃焼させるには、十分な酸素を必要とするため、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動は、ダイエットに効果的です。 腹筋 ランニングでダイエットする場合は、1キロ走ると体重1キロあたり1キロカロリー消費すると言われています。 競馬予想 自分の生活のリズムや、走るペースを考え、1回のランニングで何キロ走れるのかを決めましょう。...

  • ネイルは若い女性からおばあちゃんまで

    10 mars 2012

    私は今ヨーロッパのとある国に住んでいます。 こちらでは、ネイルのお洒落は一般的で、ネイルをしている女性は日本より多く、若い女性だけでなく白髪のおばあちゃんまで、幅広い年齢層の方がネイルを楽しんでいます。 ショッピングモールなどにも予約なしで気軽にネイルをしてくれるネイルサロンがあり、価格も比較的安いですから、ネイルを気軽に楽しめるのでしょうね。 ネイルのカラーは、赤や濃いオレンジなどの派手目のカラーが好まれているようです。また爪先を白く、残りの部分はヌーディーなカラーで決めるフレンチネイルもよく目にするパターンです。...

  • 勿論、日本の話ではない

    24 mars 2012

    この三人が三人とも、云ひ合せたやうに、口を噤んでゐる。その上、碌に身動きさへもしない、何か、これから起らうとする事に、非常な興味でも持つてゐて、その為に、皆、息をひそめてゐるのではないかと思はれる。 日は正に、亭午であらう。犬も午睡をしてゐるせいか、吠える声一つ聞えない。打麦場を囲んでゐる麻や黍も、青い葉を日に光らせて、ひつそりかんと静まつてゐる。それから、その末に見える空も、一面に、熱くるしく、炎靄をたゞよはせて、雲の峰さへもこの旱に、肩息をついてゐるのかと、疑はれる。見渡した所、息が通つてゐるらしいのは、この三人の男の外にない。さうして、その三人が又、関帝廟に安置してある、泥塑の像のやうに沈黙を守つてゐる。……...

  • 誰もわからうとしたものもございますまい

    20 mars 2012

    その癖、屏風の何が自由にならないのだか、それは誰にもわかりません。又、誰もわからうとしたものもございますまい。前のいろ/\な出来事に懲りてゐる弟子たちは、まるで虎狼と一つ檻にでもゐるやうな心もちで、その後師匠の身のまはりへは、成る可く近づかない算段をして居りましたから。 従つてその間の事に就いては、別に取り立てゝ申し上げる程の御話もございません。もし強ひて申し上げると致しましたら、それはあの強情な老爺が、何故か妙に涙脆くなつて、人のゐない所では時々独りで泣いてゐたと云ふ御話位なものでございませう。殊に或日、何かの用で弟子の一人が、庭先へ参りました時なぞは廊下に立つてぼんやり春の近い空を眺めてゐる師匠の眼が、涙で一ぱいになつてゐたさうでございます。弟子はそれを見ますと、反つてこちらが恥しいやうな気がしたので、黙つてこそ/\引き返したと申す事でございますが、五趣生死の図を描く為には、道ばたの屍骸さへ写したと云ふ、傲慢なあの男が、屏風の画が思ふやうに描けない位の事で、子供らしく泣き出すなどと申すのは、随分異なものでございませんか。...

  • こう云う彼等の感情の変化は、勿論彼自身も見逃さなかった

    27 mars 2012

    高天原の国の若者たちは、それ以来この容貌の醜い若者に冷淡を装う事が出来なくなった。彼等のある一団は彼の非凡な腕力に露骨な嫉妬を示し出した。他の一団はまた犬のごとく盲目的に彼を崇拝した。さらにまた他の一団は彼の野性と御目出度さとに残酷な嘲笑を浴せかけた。最後に数人の若者たちは心から彼に信服した。が、敵味方の差別なく彼等がいずれも彼に対して、一種の威圧を感じ始めた事は、打ち消しようのない事実であった。 こう云う彼等の感情の変化は、勿論彼自身も見逃さなかった。が、彼のために悲惨な死を招いた、あの猪首の若者の記憶は、未だに彼の心の底に傷ましい痕跡を残していた。この記憶を抱いている彼は、彼等の好意と反感との前に、いずれも当惑に似た感じを味わないではいられなかった。殊に彼を尊敬する一団の若者たちに接する時は、ほとんど童女にでも似つかわしい羞恥の情さえ感じ勝ちであった。...

  • 仏像彫刻もはるかに清純の度を増している

    09 février 2012

    仏像彫刻もはるかに清純の度を増している。恐らくそれは西域が特に仏教的であって、シヴァやインドラの快楽を憧憬するインド教に侵されていなかったからであろう。玄奘の『西域記』によると、当時のインドは仏教よりも外道の方が盛んであった。しかし西域の諸国にはほとんど外道が伝わっていなかった。またその仏教も後の密教のようにひどくインド教をとり入れたものではなかった。だから仏教を中心としていえばインドよりは西域の方が清新だったのである。そうしてこの西域がインドと唐とを結びつけていたのである。玄弉が連れ帰った外国人のことを考えても、インドから多数の人を連れてくるのは困難であったが、西域からは容易であった。玄弉は十七年の旅をおえてヒマラヤ山北の于(コータン)に帰り、そこに留まって経論(きょうろん)を講じたが、その間唐の太宗に対し禁令を犯して外遊した罪の赦免を乞うた。クレジットカード情報...

  • まるで新しい鉱石のように

    12 mars 2012

    しかし光の靄に似た流れは、少しもその速力をゆるめない。かえって目まぐるしい飛躍のうちに、あらゆるものを溺らせながら、澎湃として彼を襲って来る。彼は遂に全くその虜になった。そうして一切を忘れながら、その流れの方向に、嵐のような勢いで筆を駆った。 この時彼の王者のような眼に映っていたものは、利害でもなければ、愛憎でもない。まして毀誉に煩わされる心などは、とうに眼底を払って消えてしまった。あるのは、ただ不可思議な悦びである。あるいは恍惚たる悲壮の感激である。この感激を知らないものに、どうして戯作三昧の心境が味到されよう。どうして戯作者の厳かな魂が理解されよう。ここにこそ「人生」は、あらゆるその残滓を洗って、まるで新しい鉱石のように、美しく作者の前に、輝いているではないか。……...

  • その上奏文が太宗を動かして

    09 février 2012

    その上奏文が太宗を動かして、赦免の勅使と共に彼を迎える人夫及び軍馬を送るに至らしめた。もとより玄弉の旅行は一人でできる性質のものでない。多量の経論をもたらして沙漠を渡り高山を越えるときに、少なからざる人馬を必要としたことは言うまでもなかろう。しかしそれは行く先々の王侯や仏徒の好意によって続け得た旅行なのである。しかるに今や彼は、当時東洋第一の強大国の帝王に支持せられて西域からシナへと凱旋(がいせん)する。従って于 から東帰する彼の旅行には、恐らく彼が欲するだけの人と物とを携えることができたであろう。従って多くの于...

  • 保吉は一息にこう言った

    22 mars 2012

    保吉は一息にこう言った。粟野さんは何とも返事をせずに立ち上ったように覚えている。しかしどう云う顔をしたか、それは目にもはいらなかったらしい。爾来七八年を閲した今日、保吉の僅かに覚えているのは大きい粟野さんの右の手の彼の目の前へ出たことだけである。あるいはその手の指の先に(ニコティンは太い第二指の爪を何と云う黄色に染めていたであろう!)四つ折に折られた十円札が一枚、それ自身嬌羞を帯びたように怯ず怯ず差し出されていたことだけである。……… 保吉は明後日の月曜日に必ずこの十円札を粟野さんに返そうと決心した。もう一度念のために繰り返せば、正にこの一枚の十円札である。と言うのは他意のある訣ではない。前借の見込みも全然絶え、父母兄弟とも喧嘩をした今、たとえ東京へ出かけたにもせよ、金の出来ないことは明らかである。...

  • レンタル携帯電話と改正携帯電話不正利用防止法

    13 mars 2012

    振り込め詐欺などの社会現象化した犯罪ネットワーク撲滅などのため、携帯電話事業者及びPHS事業者に対し、携帯電話等の契約締結時及び譲渡時に、契約者の本人確認を義務付ける法律が元々ありました。平成20年からは、改正携帯電話不正利用防止法が施行されましたので、レンタル携帯の契約の際にも、公的身分証による本人確認が必要になりました。やはり、振り込め詐欺などの不正利用防止が狙いです。対面での取引の際、免許証などの本人確認書類を提示することが要求されるようになります。レンタル携帯業者による事前の掲示の中には、郵送の取引の場合は、公的身分証の写しを郵送させるだけでなく、身分証の住所に郵送物を送っての確認とする、と明記のある場合もあります。...

  • おい、あいつはどうだい

    03 avril 2012

    すると、その時、自分たちの一人は、時間表の前に立って、細い数字をしらべている妙な男を発見した。その男は羊羹色の背広を着て、体操に使う球竿のような細い脚を、鼠の粗い縞のズボンに通している。縁の広い昔風の黒い中折れの下から、半白の毛がはみ出している所を見ると、もうかなりな年配らしい。その癖頸のまわりには、白と黒と格子縞の派手なハンケチをまきつけて、鞭かと思うような、寒竹の長い杖をちょいと脇の下へはさんでいる。服装と云い、態度と云い、すべてが、パンチの挿絵を切抜いて、そのままそれを、この停車場の人ごみの中へ、立たせたとしか思われない。――自分たちの一人は、また新しく悪口の材料が出来たのをよろこぶように、肩でおかしそうに笑いながら、能勢の手をひっぱって、...

  • クレジットカードとデビットカード

    09 avril 2012

    キャッシュレスの決済方法は以前はクレジットカードだけでしたが、今では電子マネーやデビットカードも普及しています。その中でも海外で利用できるクレジットカードとVISAデビットカードは利用価値の高い決済システムです。どちらもショッピング機能は似通っていますが、デビットカードの場合は銀行口座の残高の範囲内で利用するという違いがあります。さらに1回払いだけの利用で、キャッシング機能もない点がクレジットカードとの大きな違いです。 デビットカードは基本的に銀行のキャッシュカードです。そのためデビットカード@を発行しているのはネット銀行など金融機関がほとんどです。中には証券会社が発行しているケースもあります。口座の残高の範囲内で利用するため使いすぎの心配はありません。計画的に利用できるのがデビットカードのメリットといえるでしょう。...

  • 塾を通じての出会い

    04 avril 2012

    私は小学生の頃、塾に通っていました。今思い出すともちろん全員が同じ塾という訳ではありませんが、学校のクラスでも半分くらいの人がどこかの塾へ通っていたのではないかと思います。 そんな比率でしたから、もちろん私の通っていた塾には私の通っていた小学校の同級生や他のクラスの生徒もいましたし、何人か他所の小学校の生徒も通って来ていたのでした。 それで塾を通じて仲良くなって、一緒に遊んだりする事も結構ありました。特に他所の学校の生徒と一緒に遊ぶ時は、遊ぶ地域もそれまで良く知らない遠くの方まで行く事が増えたりするなど、なかなか新鮮な気分でしたね。...

  • 少なからぬ借金で差引かれるのが多いのに

    04 juin 2012

    少なからぬ借金で差引かれるのが多いのに、稼高の中から渡される小遣は髪結の祝儀にも足りない、ところを、たといおも湯にしろ両親が口を開けてその日その日の仕送を待つのであるから、一月と纏めてわずかばかりの額ではないので、毎々借越にのみなるのであったが、暖簾名の婦人と肩を並べるほど売れるので、内証で悪い顔もしないで無心に応じてはいたけれども、応ずるは売れるからで、売るのには身をもって勤めねばならないとか。 いかに孝女でも悪所において斟酌があろうか、段々身体を衰えさして、年紀はまだ二十二というのに全盛の色もやや褪せて、素顔では、と源平の輩に遠慮をするようになると、二度三度、月の内に枕が上らない日があるようになった。...

  • 初唐のシナ人

    09 février 2012

    だから初唐のシナ人は、グプタ朝芸術の一側面たるインド風のデカダンの香気に対して、わりに冷淡であった。そうしてただギリシア的な偉大性と艶美とのみを取りいれた。そこに漢人特有の簡素化の気分が加わって、清爽と雄勁とを兼ねた古典的な芸術ができあがる。それが初唐の様式であった。 この連関には西域人の共働をも認めなくてはならぬ。ちょうど玄弉の時代は西域の最盛期であった。そこにはインド、ペルシア、ギリシア等の文化が渾融して、一種特別の趣を呈していたらしい。その文化はインドほど発達していないだけに、またインドほどただれてもいなかった。スタイン発掘品などの写真を見ると、同じく女の裸体を画いても、インドほど淫靡(いんび)な感じを与えない。...

  • 思出したように急がしく掻込んで

    04 juin 2012

    思出したように急がしく掻込んで、手拭の端でへの字に皺を刻んだ口の端をぐいと拭き、差置いた箸も持直さず、腕を組んで傾いていたが、台所を見れば引窓から、門口を見れば戸の透から、早や九時十時の日ざしである。このあたりこそ気勢もせぬが、広場一ツ越して川端へ出れば、船の行交い、人通り、烟突の煙、木場の景色、遠くは永代、新大橋、隅田川の模様なども、同一時刻の同一頃が、親仁の胸に描かれた。 「姉や、姉や、」と改めて呼びかけて、わずかに身を動かす背に手を置き、 「道理じゃ、善いにしろ、悪いにしろ、死のうとまで思って、一旦水の中で引取ったほどの昨夜の今じゃ、何か話しかけられても、胸へ落着かねえでかえって頭痛でもしちゃあ悪いや、な。だから私あ何にも謂わねえ。...

  • 勇將

    04 juin 2012

    同じ時、賈雍將軍は蒼梧の人、豫章の太守として國の境を出で、夷賊の寇するを討じて戰に勝たず。遂に蠻軍のために殺され頭を奪はる。 見よ、頭なき其の骸、金鎧一縮して戟を横へ、片手を擧げつゝ馬に跨り、砂煙を拂つてトツ/\と陣に還る。陣中豈驚かざらんや。頭あるもの腰を拔かして、ぺた/\と成つて※目して之を見れば、頭なき將軍の胴、屹然として馬上にあり。胸の中より聲を放つて、叫んで曰く、無念なり、戰利あらず、敵のために傷はれぬ。やあ、方々、吾が頭あると頭なきと何れが佳きや。時に賈雍が從卒、おい/\と泣いて告して曰く、頭あるこそ佳く候へ。言ふに從うて、將軍の屍血を噴いて馬より墜つ。...

  • 「この次で下車るのじゃに。」

    04 juin 2012

    「この次で下車るのじゃに。」 となぜか、わけも知らない娘を躾めるように云って、片目を男にじろりと向け直して、 「何てまあ、馬鹿々々しい。」 と当着けるように言った。 が、まだ二人ともなにも言わなかった時、連と目配せをしながら、赤ら顔の継母は更めて、男の前にわざとらしく小腰、――と云っても大きい――を屈めた。 突如噛着き兼ねない剣幕だったのが、飜ってこの慇懃な態度に出たのは、人は須らく渠等に対して洋服を着るべきである。 赤ら顔は悪く切口上で、 「旦那、どちらの麁※か存じましないけれども、で、ございますね。飛んだことでございます。この娘は嫁にやります大切な身体でございます。はい、鍵をお出し下さいまし、鍵をでございますな、旦那。」...

  • 不動産運用の夢

    15 avril 2012

    不動産で思いつくことは、昔、かなり有名だったある大物歌手のことです。その歌手は最初のヒット曲で手にしたお金で土地を買い、これを元にして徐々に大きな利益を生み、ついには実業家として有名になりました。当時、僕は二十代でしたが、不動産とは限りなく可能性を秘めたものなのだということを知ったのでした。 その歌手のことを書いた本を読みました。少なからず感動したのを覚えています。自分もできることならば、こうした不動産運用で利益をあげたい、そう思うようになったのでした。しかし、不動産に関しての知識など持ち合わせていなかった僕は、ただ願望だけが先走り、実際の行動にはうつれなかったのです。...

  • 坊さんまじりその人数で

    07 juin 2012

    「坊さんまじりその人数で。これが向うの曲角から、突当りのはばかりへ、廻縁になっています。ぐるりとその両側、雨戸を開けて、沓脱のまわり、縁の下を覗いて、念のため引返して、また便所の中まで探したが、光るものは火屋の欠も落ちてはいません。 じゃあ次の室を……」 と振返って、その大なる襖を指した。 「と皆が云うから、私は留めました。 ここを借りて、一室だけでも広過ぎるから、来てからまだ一度も次の室は覗いて見ない。こういう時開けては不可ません。廊下から、厠までは、宵から通った人もある。転倒している最中、どんな拍子で我知らず持って立って、落して来ないとも限らんから、念のため捜したものの、誰も開けない次の室へ行ってるようでは、何かが秘したんだろうから、よし有ったにした処で、先方にもしその気があれば、怪我もさせよう、傷もつけよう。さて無い、となると、やっぱり気が済まんのは同一道理。押入も覗け、棚も見ろ、天井も捜せ、根太板をはがせ、となっては、何十人でかかった処で、とてもこの構えうち隅々まで隈なく見尽される訳のものではない。人足の通った、ありそうな処だけで切上げたが可いでしょう――...

  • そんなりっぱなことを言って

    04 juin 2012

    「そんなりっぱなことを言って、きっとだね」 奴は昂然として、 「虚言と坊主の髪は、いったことはありません」 「なんだね、しゃらくさい」 微笑みつつ女子はかく言い捨てて乗り込みたり。 その年紀は二十三、四、姿はしいて満開の花の色を洗いて、清楚たる葉桜の緑浅し。色白く、鼻筋通り、眉に力みありて、眼色にいくぶんのすごみを帯び、見るだに涼しき美人なり。 これはたして何者なるか。髪は櫛巻きに束ねて、素顔を自慢に※脂のみを点したり。服装は、将棊の駒を大形に散らしたる紺縮みの浴衣に、唐繻子と繻珍の昼夜帯をばゆるく引っ掛けに結びて、空色縮緬の蹴出しを微露し、素足に吾妻下駄、絹張りの日傘に更紗の小包みを持ち添えたり。...

  • と滑稽た眉毛を、寄せたり、離したり

    03 juin 2012

    と滑稽た眉毛を、寄せたり、離したり、目をくしゃくしゃと饒舌ったが、 「や、一言も、お返事なしだね、黙然坊様。鼻だの、口だの、ぴこぴこ動いてばかり。……あれ、誰か客人だと思ったら――私の顔だ――道理で、兄弟分だと頼母しかったに……宙に流れる川はなし――七夕様でもないものが、銀河には映るまい。星も隠れた、真暗、」 と仰向けに、空を視る、と仕掛けがあったか、頭の上のその板塀越、幕の内か潜らして、両方を竹で張った、真黒な布の一張、筵の上へ、ふわりと投げて颯と拡げた。 と見て、知りつつ松崎は、俄然として雲が湧いたか、とぎょっとした、――電車はあっても――本郷から遠路を掛けた当日。麗さも長閑さも、余り積って身に染むばかり暖かさが過ぎたので、思いがけない俄雨を憂慮ぬではなかった処。...

  • 娘は、別に異ったこともありませんが

    07 juin 2012

    娘は、別に異ったこともありませんが、容色は三人の中で一番佳かった――そう思うと、今でも目前に見えますが。 その娘です、余所へは遊びに来ましたけれど、誰も友達を、自分の内へ連れて行った事はありませんでした。 寄合って、遊事を。これからおもしろくなろうという時、不意に母さんがお呼びだ、とその媼さんが出て来て引張って帰ることが度々で、急に居なくなる、跡の寂しさと云ったらありません。――先の内は、自分でもいやいや引立てられるようにして帰り帰りしたものですが、一ツは人の許へ自分は来て、我が家へ誰も呼ばない、という遠慮か、妙な時ふと立っちゃ、独で帰ってしまうことがいくらもあったんです。...

  • 誰です、わたしを呼びとめたのは?

    22 avril 2012

    黄泉の使 誰です、わたしを呼びとめたのは? 玉造の小町 (小野の小町に)あなたは黄泉の使を御存知ではありませんか? 小野の小町 (玉造の小町に)あなたも知らないとはおっしゃれますまい。(黄泉の使に)このかたは玉造の小町です。あなたはとうに御存知でしょう。 玉造の小町 このかたは小野の小町です。やっぱりあなたのお馴染でしょう。 使 何、玉造の小町に小野の小町! あなたがたが、――骨と皮ばかりの女乞食が! 小野の小町 どうせ骨と皮ばかりの女乞食ですよ。 玉造の小町 わたしに抱きついたのを忘れたのですか?...

  • 暗合

    01 avril 2012

    「お富の貞操」と云ふ小説を書いた時、お富は某氏夫人ではないかと尋ねられた人が三人ある。又あの小説の中に村上新三郎と云ふ乞食が出て来る。幕末に村上新五郎と云ふ奇傑がゐたが同一人かと尋ねられた人もある。しかしあの小説は架空の談だから、謂ふ所のモデルを用ゐたのではない。「お富の貞操」の登場人物はお富と乞食と二人だけである。その二人とも実在の人物に似てゐると云ふのは珍らしい暗合に違ひない。僕は以前藤野古白の句に「傀儡師日暮れて帰る羅生門」と云ふのを見、「傀儡師」「羅生門」共に僕の小説集の名だから、暗合の妙に驚いたことがある。然るに今又この暗合に出合つた。僕には暗合が祟つてゐるらしい。...

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